健康経営とウェルビーイング経営は何が違う?
最終更新日:2025年12月2日
健康もウェルビーイングも重要なのに、“施策が機能しない”のはなぜか?
近年、多くの企業で「健康経営」や「ウェルビーイング経営」が注目されています。
しかし実際には、
-
取り組んでも参加率が低い
-
ルーティン化して形骸化してしまう
-
従業員のメンタル不調や離職が減らない
-
施策の効果がどこに出ているか分からない
…という課題を抱える企業が少なくありません。
これは“健康” と “ウェルビーイング” を別々のものとして捉えてしまうから起きる現象です。
食事や運動の施策をしたのにパフォーマンスが変わらない、
ウェルビーイングを掲げても心理的安全性が上がらない、
メンタル不調は増える一方…。
こうした背景には、
社員の「状態」が日々変化する時代に、施策が追いついていないことがあります。
だからこそ、
まずは 健康経営とウェルビーイニング経営の違いと、そのつながりを正しく理解すること が重要です。
健康経営とウェルビーイング経営の違い
● 健康経営とは
健康経営は、
従業員の心身・行動・働き方を総合的に管理し、不調を予防し、生産性を保つための取り組み
です。
ここで扱う領域は、
-
身体的健康(不調・病気の予防)
-
メンタルヘルス
-
長時間労働などの働き方
-
健診・ストレスチェック
-
職場環境
など、いわゆる「土台」の部分。
対象は全従業員ですが、その中でも
「リスク層(不調の兆しがある人)」のサポートが最も重要になります。
なぜなら健康経営は、企業としての義務的な側面も大きく、
従業員全員が“働ける状態を保つ”ための取り組みです。
● ウェルビーイング経営とは
ウェルビーイングは「幸福」と訳されることもありますが、
より本質的には、
従業員が“その時々の状況に合った良い状態でいられること”
を指します。
つまり、
-
身体の状態
-
心理・感情
-
人間関係
-
仕事の意味・キャリア
-
家庭や生活との調和
などが、総合的に“よい状態で循環している”こと。
さらに重要なのは、
ウェルビーイングはゴールではなく、“変化に応じて更新され続ける状態”であるということ。
年齢、季節、ライフステージ、家庭状況で“良い状態”の条件は常に変わります。
企業の役割は、
その状態が持続しやすい“文化”や“環境”を育てることです。
企業が混乱する理由
健康・パフォーマンス・ウェルビーイングは、本来つながっている
健康経営とウェルビーイング経営を「別のもの」として扱ってしまう企業が多いのは事実です。
しかし、実際の現場ではこの2つは明確に分かれません。
● 健康の乱れはパフォーマンスに直結する
例:睡眠不足 → 集中力低下 → ミス増加 → 自己効力感の低下
● 人間関係のストレスは身体症状を引き起こす
例:チームの摩擦 → 胃痛・頭痛 → 欠勤・早退
● ライフステージの変化は働き方にも影響
育児・介護 → 睡眠不足 → 生産性の低下 → 感情の揺れ
このように、
健康・パフォーマンス・ウェルビーイングはそれぞれが繋がり存在しています。
だからこそ企業は、
それぞれを「点」ではなく「連動する層」として捉える必要があります。
3層モデルとは
現場の実態に合わせて、
企業の施策を以下の「3層」に整理しています。
● ① 健康(Health)=不調を減らす土台
例:
-
健康診断
-
ストレスチェック
-
長時間労働管理
-
産業医・保健師によるフォロー
-
メンタル不調の予兆把握
● ② パフォーマンス(Performance)=日々の働く力
例:
-
睡眠・疲労・集中力
-
自律神経やメンタル状態の安定
-
生活リズム
-
季節・繁忙期のコンディション調整
● ③ ウェルビーイング(Well-being)=良い状態が続く文化
例:
-
心理的安全性
-
チームの関係性
-
1on1
-
多様性理解
-
キャリアの意味づけ
この3層が循環するように設計すると、社員の安定と活力が同時に高まります。
①健康の層
義務と予防の領域/“最低限外せない土台”
企業がまず取り組むべきは、
従業員が「働ける状態」を守るための施策です。
● 健康診断・ストレスチェックの運用
-
形だけで終わっている企業も多い
-
再検査フォローが仕組化されていないケースも多い
● 長時間労働の管理
-
管理職の意識差が大きく成果が出ない
-
現場負担が偏るとメンタル不調の温床に
● ハイリスク層の早期発見
-
健診データだけでは「睡眠・疲労・情緒不安定」は見えない
-
ストレスチェックも“年1回では遅すぎる”
ここで最近増えているのが、
不眠状態やメンタル初期サインを“早期発見→改善”までつなぐサーベイ
(※Lifreeとしても支援している領域です)
これにより、
“休職寸前”ではなく“初期段階で手を打つ”ことができるため、
企業のリスク管理としての価値が高い施策となっています。
②パフォーマンス層
最も参加率が高く、行動変化が起きやすい層
多くの企業が「健康経営=食事・運動」という施策を実施していますが、
実際の従業員アンケートでは、
最もニーズが高いのは“睡眠” であるケースが圧倒的です。
睡眠は、
-
行動のハードルが低い
-
朝の目覚めや日中の集中力に即効性がある
-
全社員が関係する
-
1日のスタートと終わりを変えるだけで変化が出る
-
成果が見えやすい
という特徴があります。
さらに、経済産業省 の試算では、
睡眠不足による“個人の年間損失額は 32万4,000円”
つまり、1,000人企業なら、
年間 3億2,400万円の損失 に相当します。
この数字が示す通り、
睡眠は費用対効果が高く、最も改善しやすい“パフォーマンス施策” として注目されています。
特に、
-
最新の睡眠の整え方
- 多くの人が間違った疲労回復をしている事実
-
季節ごとのコンディション対策
-
忙しい社員でも取り組める「小さな整え習慣」
などのセミナーは参加率が高く、
企業側としても“成果が出やすい領域”です。
(Lifreeでもこの層は得意領域ですが、一般的にも非常に取り組みやすいテーマです。)
③ウェルビーイング層
“良い状態が続く文化”をつくる領域
ウェルビーイングは「福利厚生を増やすこと」ではありません。
また、「一度整えれば終わり」という固定したゴールでもありません。
本質的には、
従業員が“年齢・季節・ライフステージ・役割の変化”に合わせて、
自然と良い状態を維持できる“文化と関係性”を育てること。
環境が変化するたびに状態は揺れます。
だからこそ企業は、状態が揺れても戻せる文化 を育てる必要があります。
この層に関わる主な取り組みは以下の通りです。
● 心理的安全性の高いチームづくり
-
意見が言いやすい
-
失敗や不調を隠さなくてよい
-
状態の揺れをチームで共有できる
-
情報共有の透明性がある
心理的安全性は、ウェルビーイングの“土台の上の土台”です。
● 1on1・対話文化の質向上
1on1の本質は「管理職からの確認」ではなく、
-
状態の理解
-
価値観
-
キャリアの意味
-
今のストレス要因
-
家庭やライフステージとの両立
を丁寧に拾うことです。
企業の調査でも、
1on1の質が高いほど離職率は下がり、エンゲージメントが上がると報告されています。
● 多様なライフステージを前提にした文化づくり
従業員には、
-
育児
-
介護
-
持病
-
受験・進学
-
パートナーの働き方
-
季節性の不調
-
年齢によるコンディションの変化
など、「人生の揺れ」があります。
ウェルビーイングは、
こうした揺れを“個人の問題”にしない文化 の上に成立します。
● チームの関係性・役割の再定義
ウェルビーイングを“文化”と捉えると、
役割の明確化や期待値の共有が重要になります。
-
何を期待されているか
-
どこまで裁量を持っていいか
-
どこに責任があるか
-
困った時はどこに相談すればよいか
これらが曖昧なチームでは、
心理的安全性も成果も生まれません。
● 「助けを求められる文化」の醸成
ウェルビーイングの最終形は、
助けを求めることが当たり前の行動になる こと。
メンタル不調でも、育児の両立でも、睡眠不足でも。
「話してもいい」
「相談してもいい」
「理解してもらえる」
こうした空気感があるだけで、
状態が大きく変わる従業員は非常に多いです。
●管理職向けプログラムの重要性
ウェルビーイングは制度では作れず、
現場のマネジメントの言語と行動で作られます。
そのため、企業によっては
-
状態の見立て方
-
不調の初期サインの把握
-
睡眠・疲労・メンタルの理解
-
対話の仕方
-
フォローの仕組みづくり
などを管理職が学ぶことで、
文化醸成が一気に加速するケースが増えています。
(Lifreeでもこの領域のプログラムを提供していますが、一般的にも重要な領域です。)
では、自社はどこから着手すべきか?
“層別”の優先順位を決める実務的判断軸
健康経営もウェルビーイング経営も重要ですが、
企業の“今の状態”によって優先順位は変わります。
以下は、実際に人事担当者が使える判断基準です。
【優先順位の判断軸】
① 健康リスクが高い場合
(休職・長時間労働・メンタル不調が多い)
→ まず「健康層」から着手
→ データ可視化とハイリスクフォローを急ぐ
② 集中力(睡眠の質)低下・疲労感が広がっている
(離職ではないが、日常のパフォーマンスが落ちている)
→ 「パフォーマンス層」が最優先
→ 睡眠・疲労・生活リズム・季節対策が即効性あり
睡眠不足による個人損失(年間32.4万円)の影響が
企業全体に波及している可能性が高い。
③ 1on1が機能していない/人間関係の摩擦
(チームワークの低下、心理的安全性の欠如)
→ 「ウェルビーイング層」の文化づくりが必要
→ 管理職研修・対話・役割整理・価値観共有
④ ライフステージの偏り
(育児・介護が多い部署、若手・中堅のストレス増加など)
→ ②と③の複合施策
→ 状態を拾いながら文化として根づかせる
⑤ 季節性の不調が広がる
(梅雨・冬・夏の不調は企業全体に影響)
→ ②パフォーマンス層の“季節施策”が効果的
▶ 結論:
企業は“3層すべて必要”だが、
自社の状態に応じて着手する層を変えることが成功の鍵。
まとめ|健康経営は土台、パフォーマンスは橋渡し、
ウェルビーイングは“更新され続ける状態”
この記事では、
-
健康経営とウェルビーイング経営の違い
-
企業が迷いやすい理由
-
Lifree式3層モデル
-
健康・パフォーマンス・ウェルビーイングの施策例
-
着手すべき優先順位
-
睡眠の経済損失(個人:年間32.4万円)
について解説してきました。
■ 最後に伝えたいこと
ウェルビーイングは、
“幸福”でも“福利厚生”でもありません。
変化し続けるライフステージの中で、
その人が良い状態になれる文化のこと。
健康経営はその土台をつくり、
パフォーマンス施策は日々の活力を整え、
ウェルビーイングはそれが持続する環境を育てます。
企業がこの3層を循環させることで、
従業員の状態も、組織のパフォーマンスも、
長期的に安定していきます。
そして、「睡眠」という誰もが関わるテーマは、
この3層をつなげる最も効果的な入口になります。
睡眠に困ったときは専門家に相談を
「仕事が忙しくて睡眠時間を確保できない」「寝ても疲れが取れない」という方は、
睡眠の専門家に相談することで解決策を見つけることができます。
Lifree株式会社では、ビジネスパーソン向けに
パフォーマンスを最大化するための睡眠改善プログラムを提供しています。
睡眠の質を高め、日中の生産性を向上させる具体的な方法を知りたい方は
ぜひLifree株式会社までお問い合わせください。

